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サステナビリティ

労働市場の障壁を低減し、
3,000万人の就業を支援する

社会に関する目標

2030年度までに、3,000万人の障壁に直面する求職者の支援の達成を目指します。

2030年度までに、世界の労働市場でさまざまな障壁に直面する求職者累計3,000万人の就業を支援する(注2)

2030年度までに、3,000万人の障壁に直面する求職者の支援の達成を目指します。

本来、採用は、仕事に必要なスキルや能力によって決まるべきです。しかし、労働市場に存在する障壁は、求職者の仕事探しや採用、仕事の継続に悪影響を与えています。

リクルートグループは、プラットフォームの進化、パートナーシップによる支援、そして自社の取り組みを通じて、障壁の低減を目指します。より良い生活を支えるいい仕事との出会いを増やすことで、より公平で持続的なソーシャルインパクトを創出していきます。

具体的には、2021年度より学歴、犯罪歴(注3)、障がい、従軍経験(注4)の有無による労働市場の障壁に直面する求職者や、求職活動に欠かせないインターネットへのアクセス(デバイスおよびネットワーク接続)や交通手段がない求職者(注5)、さらに2023年度からは難民のバックグラウンドを持つ求職者(注6)の就業活動の支援に注力してきました。

学歴の障壁に対する取り組み

HR Tech SBU:Indeedの取り組み

米国では、労働人口の半数を占める7,000万人以上が、学士号取得以外のルートでスキルを身につけた「STARs(スターズ:Skilled Through Alternative Routes)」と呼ばれる労働者(注7)ですが、その多くが学士号がないために採用選考の過程から除外されています。また、STARsは学士号保持者よりも生涯年収が低いものの(注8)、その3,000万人以上が機会さえあれば現状より高賃金の仕事に転職できるスキルを持っていることが研究でわかっています(注9)。世界60か国以上で採用プラットフォームを運営するIndeedでは、「スキルファースト採用」(注10)の拡大を通して、この学歴の壁の低減に優先度高く取り組んでいます。

スキルファースト採用とは、まず学歴によって選別する従来の選考方法とは異なり、実務経験や職業訓練プログラム等を通じて求職者が得たスキルを評価し、活躍の可能性がある候補者をすくい上げていく選考方法です。採用企業は、より大きな母集団の中から業務遂行能力の高い人材を見逃さずに、短期間で採用することが可能です。また求職者にも、これまでの経験で培ったスキルを最大限に活かす機会が訪れます。

Indeedでは、以下の3つのアプローチでスキルファースト採用を進めています。

  • 良い職務経歴(履歴書)

    障壁に直面する求職者が、スキルや職業訓練の受講履歴を登録することで、自身の能力をよりわかりやすくアピールし、希望する職種や適性のある職種を見つけやすくする

  • 良い職務内容(求人票)

    雇用主が、募集するポジションに必須のスキルを明確にし、かつ表現できるように支援する。また、求職者の応募書類に記載されているスキルを雇用主が信頼し、適切に評価できるようにすることで、雇用主がスキルにもとづいて候補者をリスト化し、選考、採用できるようにする

  • スキルにもとづいたマッチング

    職務要件に合わせて求職者のスキル(ソフトスキルを含む)を丁寧に分析・理解したうえで、求職者と雇用主が、より効率的に出会えるようにする

例えば、「Smart Sourcing」の中の「Matched Candidates」という機能では、AIを活用して、求職者のスキルにもとづいたマッチングを実現しています。雇用主は、AIが作成した求職者のスキルやその要約(AI Candidate Highlights)を確認することができ、求職者からの応募を待たずに求人に応募するよう求職者を招待できます。求職者も、自分のスキルにマッチした求人に効率的にアクセスできます。

Smart Sourcingの中の「Matched Candidates」機能の画面。

スキルファースト採用は、学歴の壁に直面する求職者に限らず、求職者全体のマッチングを進化させるうえで重要なものになっています。グローバルのIndeedのタクソノミー(分類)には、既に40,000(注11)を超える市場固有のスキルが設定されています。米国のIndeed上では、求職者の71%(注12)がスキルにもとづいて仕事とマッチングされており、雇用主に対する候補者提案のうち65%(注12)は、スキルにもとづくマッチングによるものでした。Indeedは、さらにスキルに関する理解を深め、求職者向けプロダクトと雇用主向けプロダクトの双方を進化させ、マッチングの最適化を進めることで、「スキルファースト採用」をより一層推進する予定です。

その他の障壁に対する取り組み

学歴

約6割の雇用主が、候補者に十分なスキルや経験があるにもかかわらず、大学など高卒後の学歴がないことを理由に不採用にしたことがある、と答えています(注13)

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犯罪歴

犯罪歴のある求職者は、選考通過や採用の連絡を受ける確率が50%以上低い(注14)

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障がい

障がいのある求職者は、仕事探しにおいて障壁に直面する上、仕事をする上でさらなる苦労がある場合がある

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従軍経験

軍隊生活から市民生活に移行しキャリアをスタートしたい退役軍人は、これまでのスキルや経験をうまくアピールできず仕事探しに苦戦するケースがある

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テクノロジー・交通手段へのアクセス

インターネットへのアクセスや交通手段などの最低限必要な支援がないと、仕事探しや就業を始めるのが難しい求職者がいる

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難民のバックグラウンド

地政学的な緊張感が高まる中で祖国を離れることを余儀なくされ、避難先で生活を立て直すため、仕事を必要としている人々が急増している

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目標に向けた道のり

2024年度末までに累計で約1,180万人(注15)の求職者の障壁を低減し、採用を実現することができました。今後もプラットフォームやサービスをさらに進化させることで、雇用主の中で高まる、インクルーシブでスキル優先の採用ニーズに応えていきます。

2030年度までに3,000万人の障壁に直面する求職者を支援する目標に対して、2024年度末までに累積1,180万人の採用支援を実現したことを示す図。

グループ企業におけるその他の取り組み

人材派遣SBU:RGF Connectを通じた取り組み

例えば、障がいのある学生や生徒が、学生から社会人へと移行する過程でさまざまな障壁に直面することは少なくありません。そこで日本で事業を展開するリクルートスタッフィングクラフツは、RGF Connectの一環として「オンラインしごと体験会」を実施しています。障がいのある学生や生徒が充実したキャリアの基盤を築けるよう、全国の特別支援学校と連携し、自分の可能性に気づいたり、リモートワークに必要なスキルを身につける機会を提供しています。リモートワークは、柔軟な働き方や健康管理のしやすさから、多くの障がいのある方が希望する選択肢だからです。2024年度には、13歳から18歳までの特別支援学校の生徒233人以上が本プログラムに参加しました。

リクルートスタッフィングは今後も、特例子会社であるリクルートスタッフィングクラフツを通してリモートワークの機会を提供し、また特別支援学校と企業の連携を促進することで、障がいのある学生や生徒一人ひとりが自分の可能性を発揮し、目指すキャリアの実現に向けて歩めるよう取り組んでまいります。

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マーケティング・マッチング・テクノロジーSBU:リクルートの取り組み

日本を中心に事業を展開するマーケティング・マッチング・テクノロジーSBU(注16)のリクルートでは、人材領域における60年以上の事業活動によって培われたノウハウや知見を活かし開発した就労支援・キャリア教育プログラム「WORK FIT」(注17)を、刑務所や少年院、保護観察所に展開しています。さらに2024年には法務省と包括連携協定を締結し、プログラム開発や研修等の提供を推進しています。

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就業までに掛かる時間を半分にする

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コミュニティ支援

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  • 本ウェブページに記載の年数は、その年の4月1日に開始し、翌年3月31日に終了する当社の会計年度を意味する。また本ウェブページに記載の数値は、すべて概数。
  • 当社グループが運営する求人プラットフォーム上の応募を通じた就業、当社グループが支援するNPO等の団体を通じた就業等を含む。2030年度までに、労働市場における課題を見極めた上でさまざまな障壁の低減を行っていく。
  • 米国では3億3000万人の人口に対して、約7,900万人に犯罪歴があり(出典:Prison Policy Initiative, 2024)、犯罪歴がある求職者の失業率は米国平均の約5倍(出典:Prison Policy Initiative, 2022)。
  • 2016年に行われた米国商工会議所財団の調査では、退役軍人の53%が退役後4カ月以上にわたって、失業していることがわかっている。実際、当社サービスにおいても軍隊生活から市民生活に移行中の退役軍人は、軍で得たスキルや経験を労働市場でうまくアピールできずに仕事探しに苦戦するケースが見受けられている。
  • インターネットに接続することができず求人プラットフォームにアクセスすることができない、面接や仕事に行くための交通手段がないといった、求職活動の機会を著しく限定する障壁を示す。
  • 紛争、暴力、迫害から逃れるために自国を逃れ、他国に安全を求めた個人(国連難民高等弁務官事務所が定める定義)。
  • 米国における、高卒以上の学歴を有し、かつ4年制大学の学位を持たない労働者を指す。(出典:Opportunity@Work)
  • 出典:Georgetown University Center on Education and the Workforce report, "The College Payoff: More Education Doesn't Always Mean More Earnings"(2021)
  • 出典:Opportunity@Work & Accenture(2020)
  • インクルーシブな採用は社会を反映した職場を実現するために、公平性を高めた採用を実現するための企業の取り組みを示す。スキルファーストな採用は求人に対する候補者を、採用プロセスの初期段階でスキルにもとづいて選考する方法。まず学歴で選別する従来の選考方法とは異なり、スキルにもとづいた評価を行うことで活躍の可能性がある候補者をリストに含め、業務遂行能力の高い人材を見逃さずに、短期間での採用実現を目指す。
  • 2024年2月時点の数値。
  • 2023年7月から9月のデータに基づく。
  • 出典:Accenture, Grads of Life, Harvard Business School「Dismissed by Degrees: How degree inflation is undermining U.S. competitiveness and hurting America’s middle class.」(2017)
  • 出典:Wendy Sawyer, Peter Wagner「Mass Incarceration: The Whole Pie 2020」(2020)
  • 2021年5月1日から2025年3月31日までの間に、採用シグナルの測定を通して、世界中の求職者および雇用主からIndeed上で報告された就業データにもとづく。学歴、犯罪歴、軍隊経験、障がいの有無、または求職活動のために必要なパソコンやインターネット等を持っていないという労働市場の障壁のうち、少なくとも一つに直面した求職者の就業数の累計。難民のバックグラウンドを持つ求職者は2023年度より計測を開始。
  • 2025年度より、マッチング&ソリューション戦略ビジネスユニット(Strategic Business Unit、以下SBU)を、マーケティング・マッチング・テクノロジーSBUに名称変更した。
  • 「WORK FIT」は、2008年リーマンショック後に、就職したくても就職できない若者の就労支援を目的に開発されたプログラム。就職したくてもなかなか動き出せない、結果が出ない若者に向けて、就職活動に前向きに取り組むきっかけを提供することを目的として実施していたこのプログラムは、現在では地域若者サポートステーションや各種就労支援団体などでも活用されている。